各種平均の求め方|加重平均・幾何平均・調和平均をわかりやすく解説

平均の違いとは?

平均と聞くと、多くの人は「算術平均(通常の平均)」を思い浮かべます。しかし、データの種類や目的によっては、算術平均では適切に代表値を表せない場合があります。

例えば、生産数量が異なるロットをまとめて評価する場合には「加重平均」、成長率や倍率を扱う場合には「幾何平均」、速度や単位当たりの値を平均したい場合には「調和平均」が適しています。

この記事では、それぞれの平均の定義式や特徴、実務での活用例について解説します

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算術平均との違い

算術平均は、すべてのデータを同じ重みとして平均します。一方、加重平均・幾何平均・調和平均は、それぞれ異なる考え方で代表値を求めるため、用途によって使い分けることが重要です。

平均 適したデータ
算術平均 通常の測定値
加重平均 数量に差があるデータ
幾何平均 倍率・成長率
調和平均 速度・単価・比率

加重平均とは

加重平均とは、各データに重み(Weight)を付けて平均を求める方法です。

例えば、生産数量が異なる複数ロットの平均寸法を求める場合、各ロットを同じ重みで平均すると実態を正しく反映できません。そのため、生産数量を重みとして平均値を計算します。

■定義式

加重平均は以下の定義式で求めることができます。

w = ni=1 wixi ni=1 wi

xix_ixi​:測定値
wiw_iwi​:重み

■実務での使いどころ

加重平均は、それぞれのデータの重要度や数量が異なる場合に利用されます。

例えば、ロットごとの平均寸法を統合する際には、生産数量の多いロットほど全体の平均に与える影響を大きくする必要があります。また、製品ごとの販売数量を考慮した平均売上単価の算出や、工程ごとの品質指標を生産数量で加重して評価する場合にも加重平均が用いられます。

このように、「すべてのデータを同じ重みで扱うことが適切でない場合」には、加重平均を使用することで実態に近い代表値を求めることができます。

■事例:ロットごとの平均寸法から加重平均を求める

ある製品について、3つのロットの平均寸法と生産数量が次のようになっているとします。

ロット 平均寸法 (mm) 生産数量
A 10.2 100個
B 10.5 300個
C 10.1 600個

各ロットの生産数量が異なるため、単純平均ではなく加重平均を用いて全体の平均寸法を求めます。

・Step1 定義式に値を代入する

xˉw=10.2×100+10.5×300+10.1×600100+300+600\bar{x}_w= \frac{10.2\times100+10.5\times300+10.1\times600} {100+300+600}

・Step2 分子・分母を計算する

まず分子を計算します。

10.2×100+10.5×300+10.1×600=1020+3150+6060=1023010.2\times100 + 10.5\times300 + 10.1\times600 = 1020 + 3150 + 6060 = 10230

次に分母を計算します。

100+300+600=1000100+300+600=1000

・Step3 加重平均を求める

以上より、xˉw=102301000=10.23 mm\bar{x}_w= \frac{10230}{1000} = 10.23\ \mathrm{mm}

となります。

・計算結果

この例では、生産数量を考慮した全体の平均寸法は10.23 mmとなりました。

もし3つのロットを単純平均すると

10.2+10.5+10.13=10.27 mm\frac{10.2+10.5+10.1}{3} = 10.27\ \mathrm{mm}

となり、生産数量を考慮した加重平均とは異なる結果になります。

このように、生産数量や重要度が異なるデータでは、加重平均を使用することで実態に近い代表値を求めることができます。


幾何平均とは

幾何平均は、データを掛け合わせ、その n 乗根を取って求める平均です。

増加率や倍率を扱うデータでは、算術平均よりも実態を正しく表現できます。金融分野では平均利回り、品質管理では劣化倍率や成長率の評価などに利用されます。

■定義式

調和平均は、以下の定義式で求めることができます。

G=x1x2xnnG=\sqrt[n]{x_1x_2\cdots x_n}

■実務での使いどころ

幾何平均は、倍率や成長率を扱うデータの代表値を求める際に利用されます。

例えば、企業の年間成長率(CAGR)や投資商品の平均利回りを評価する場合、毎年の増加率は掛け算で変化するため、算術平均では実際の成長率を適切に表せないことがあります。このような場合には、幾何平均を用いることで実際の変化に近い平均成長率を求めることができます。

また、品質管理や生物学の分野では、菌数や化学物質の濃度など、対数正規分布に近い性質を持つデータを扱うことがあります。このようなデータの代表値としても幾何平均が利用されており、倍率データや指数的に変化するデータの評価に適した平均値といえます。

■事例:年間成長率(CAGR)を求める

ある企業の売上高が、3年間で毎年次のように増加したとします。

・1年目:10%増(1.10倍)
・2年目:20%増(1.20倍)
・3年目:5%増(1.05倍)

このとき、3年間の平均成長率を求めます。

成長率は毎年掛け算で変化するため、幾何平均を用いて計算します。

・Step1 定義式に値を代入する

G=1.10×1.20×1.053G=\sqrt[3]{1.10\times1.20\times1.05}

・Step2 積を計算する

まず、3年間の成長倍率を求めます。

1.10×1.20×1.05=1.3861.10\times1.20\times1.05 = 1.386

したがって、G=1.3863G=\sqrt[3]{1.386}

となります。

・Step3 幾何平均を求める

3乗根を計算すると、

G=1.115G = 1.115

となります。

倍率から成長率へ変換すると、

(1.1151)×100=11.5%(1.115-1)\times100 = 11.5\%

となります。

・計算結果

この例では、3年間の平均成長率(CAGR)は約11.5%となります。

なお、毎年の増加率を単純平均すると、

10+20+53=11.7%\frac{10+20+5}{3} = 11.7\%

となりますが、これは実際の複利的な成長を正しく表していません。

このように、倍率や成長率のように掛け算で変化するデータでは、幾何平均を用いることで実際の変化に近い平均値を求めることができます。


調和平均とは

調和平均は、逆数の平均の逆数として求める平均です。

速度や単位時間当たりの値など、「○○あたり」のデータを平均するときに利用されます。

■定義式

調和平均は以下の定義式で求めることができます。

H=ni=1n1xiH=\frac{n}{\sum_{i=1}^{n}\frac{1}{x_i}}

■実務での使いどころ

調和平均は、「○○あたり」の値や比率を平均する場合に利用されます。

代表的な例として、同じ距離を異なる速度で移動した場合の平均速度の計算が挙げられます。また、自動車の平均燃費や、製造工程における平均処理時間の評価にも用いられます。

さらに、製品ごとの単価単位コストなど、単位当たりの値をまとめて評価する場合にも調和平均が利用されます。このようなデータでは算術平均を用いると実態と異なる結果になることがあるため、調和平均を使用することでより適切な代表値を求めることができます。

■事例:往復の平均速度を求める

ある自動車が、同じ距離を

・往路:60 km/h
・復路:40 km/h

で走行したとします。

このとき、往復の平均速度を求めます。

単純平均ではなく、調和平均を用いて計算します。

・Step1 定義式に値を代入する

H=2160+140H= \frac{2} {\frac{1}{60}+\frac{1}{40}}

・Step2 分母を計算する

まず分母を計算します。

160+140=2120+3120=5120=124\frac{1}{60}+\frac{1}{40} = \frac{2}{120}+\frac{3}{120} = \frac{5}{120} = \frac{1}{24}

・Step3 調和平均を求める

以上より、H=21/24=48 km/hH= \frac{2}{1/24} = 48\ \mathrm{km/h}

となります。

・計算結果

この例では、往復の平均速度は48 km/hとなります。

なお、60 km/hと40 km/hを単純平均すると、

60+402=50 km/h\frac{60+40}{2} = 50\ \mathrm{km/h}

となりますが、これは正しい平均速度ではありません。

往復では走行距離が等しく、速度が異なるため、調和平均を用いることで実際の平均速度を正しく求めることができます


まとめ

本記事では、加重平均・幾何平均・調和平均について解説しました。

それぞれ求め方は異なりますが、適切な平均を選択することでデータをより正確に評価できます。

・加重平均:重みを考慮した平均

・幾何平均:倍率や成長率の平均

・調和平均:速度や単位当たりの値の平均

データの特徴を理解し、目的に応じて適切な平均を使い分けることが重要です。

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