信頼性のワイブル分析と解析方法について解説!

故障のしやすさや製品寿命を予測する信頼性工学を実施するうえで、必ず理解しておきたいのがワイブル分析です。

ワイブル分析は、製品や設備がどのように故障していくかを統計的に分析し、故障モードや寿命を予測するための代表的な手法です。

たとえば、ある設備が「使い始めに故障しやすい」のか、「長く使うと劣化して故障しやすい」のかによって、必要な対策は大きく変わります。”初期不良”が多いのであれば出荷前検査を強化すべきですし、”経年劣化が原因”であれば予防保全や定期交換が重要になります。

その判断に役立つのがワイブル分布です。

ワイブル分布は、信頼性工学において最も広く使われる確率分布の一つであり、製品や機械の寿命解析に不可欠です。

本記事では、ワイブル分布の基礎から、形状パラメータと尺度パラメータの意味、故障モードとの関係、実際の計算方法までをわかりやすく解説します。

また、累積故障率の推定方法や、出荷後1年時点の故障率を求める実務的な事例も紹介します。

ワイブル分布とは

ワイブル分布とは、故障時間や寿命を表現するための確率分布です。
信頼性工学では、「どのタイミングで故障しやすいか」を知ることが非常に重要です。

しかし、実際の製品はすべて同じ時間で壊れるわけではありません。早く壊れるものもあれば、長く使えるものもあります。
そのため、故障時間を分布として捉え、「何時間後に何%が故障するか」を分析する必要があります。

そこで使われるのがワイブル分布です。

ワイブル分布は、初期故障・偶発故障・摩耗故障のいずれにも対応できるため、多くの設備や部品の寿命解析に利用されています。

たとえば、以下のような対象に使われます。

ワイブル分析が使われる対象
ベアリング
モーター
半導体
LEDランプ
工場設備
ポンプ

ワイブル分布の基礎とパラメータ

ワイブル分布では、主に2つのパラメータを使用します。

・形状パラメータm(エム)
・尺度パラメータη(イータ)

ワイブル分布の具体的な形状はこの「形状パラメータ」と「尺度パラメータ」二つが決まればただ一つに決まる特性を持っています(正規分布が平均μと標準偏差σでただ一つに決まるのと同じです)。
この2つを理解することで、「どのような故障モードなのか」「平均的にどのくらい長持ちするのか」がわかるようになります。

形状パラメータm とは

形状パラメータmは、故障率が時間とともにどのように変化するかを表します。

mの値によって、製品の故障モードが変化します。

たとえば、m=0.5であれば初期不良が多い製品、m=3であれば摩耗や劣化で故障しやすい製品と判断できます。👉この時間経過における故障の特徴を”故障モード”と呼びます。

以下に形状パラメータmの値と、そこからわかる故障モードを一覧にします。

形状パラメータ m値 m < 1 m = 1 m > 1
役割 故障率の時間経過に伴う特徴の推定(故障モード)
故障モード 初期故障 偶発故障 摩耗故障

尺度パラメータηとは

尺度パラメータηは、寿命の長さを表す指標です。

ηが大きいほど長寿命、小さいほど短寿命となります。

ワイブル分布では、累積故障率が約63.2%になる時間がηに相当します。
たとえば、η=1000時間であれば、1000時間使用した時点で約63.2%が故障すると考えられます。

ワイブル分布の数式

ワイブル分布では、いくつかの数式がありますが、実務で最もよく使われるのは累積故障率を求める式です。

F(t)=1-e-(t/η)m

ここで、

・F(t):時刻tまでの累積故障率
・t:使用時間
・η:尺度パラメータ
・β:形状パラメータ

を表します(mとηは上の項で説明したものです!)。

この式を使うことで、「出荷後1年で何%が故障するか」「5000時間使用した時点で何%が故障するか」を推定できます。具体的なやり方は↓の項に例題を用意していますので確認してください。

例題1:自社製品の故障モードの推定

ある製品について、市場に出す前に故障の仕方が
・初期故障型(出荷後すぐが一番壊れやすい)
・偶発故障型(傾向はなく、一定の確率でランダムに壊れる)
・劣化摩耗型(市場で時間がたつほど壊れやすくなる)

のいずれであるかを調査する必要が出てきました。
※修理Gの人員計画や保守部品の準備を行うため

そこで、事前にサンプルをユーザーに渡していた10製品について、故障日データを取得しました。
また、類似機種のデータより尺度パラメーターη=120日であると推定されているものとします。

製品No. 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10
t(日) 58 72 81 90 98 107 118 132 148 167
F(t) 0.10 0.20 0.30 0.40 0.50 0.60 0.70 0.80 0.90 0.99

ここから、この製品の形状パラメータm(故障モード)を推定しましょう!

解答

今回、尺度パラメータ η=120日 と推定されているため、
累積故障率F(t)=0.50 となる t=98日 のデータを使って、mを逆算してみます。

F(t) = 1 – e-(t/η)m

0.50 = 1 – e-(98/120)m

e-(98/120)m = 0.50

-(98/120)m = ln(0.50)

(98/120)m = -ln(0.50)

(98/120)m = 0.693

m = ln(0.693) / ln(98/120)

m = -0.3665 / -0.2025

m ≒ 1.81

したがって、この製品の形状パラメータmは約1.8と推定できます。
この製品の故障モードは劣化摩耗故障型であると判断されました。

この場合は、長期使用後に故障が増えるため、定期交換や寿命管理が重要になります。

Excel解析テンプレート

今回のようなワイブル解析は、故障日データと累積故障率を入力することで、Excelでも比較的簡単に実施できます。特に、形状パラメータmや尺度パラメータηを求める作業は、手計算では時間がかかるため、実務ではExcelを使って解析するケースが一般的です。

そこで次に、今回の10製品データを使いながら、Excelでワイブル解析を行うためのテンプレート例を紹介します。

このテンプレートを使えば、

・故障日データの入力
・累積故障率F(t)の計算
・ワイブルプロット用の変換
・m値、η値の推定

まで一通り実施できるようになります。

例題2:部品Aの出荷後1年後の累積故障率の推定

ある企業TRでは、部品Aについて出荷1年後の累積故障率を顧客に示す必要が出てきました。

部品Aについて、過去データより以下の条件がわかっているとします。

・形状パラメータβ = 3.0(劣化摩耗型である)
・尺度パラメータη = 1000日
・評価したい時間t = 365日

このとき、365日経過時点での累積故障率F(t)を求めます。

解答

ワイブル分布の累積故障率は、以下の式で求めます。

F(t) = 1 – e-(t/η)β

今回の条件は

・m=3.0
・η=1000日
・t=365日

であるため、式に代入します。

F(365) = 1 – e-(365/1000)3

= 1 – e-0.0486

= 1 – 0.9526

= 0.0474

つまり、部品Aは出荷後1年で約4.8%が故障すると予測できます。

このようにワイブル分布を使うことで、一定期間後の累積故障率を推定し、保守計画や交換時期の検討に役立てることができます。

※累積故障率の計算についてもテンプレートを希望の際は「お問い合わせフォーム」もしくは「コメント」でご要望ください!

ワイブル分析が使われる場面

ワイブル分析は、以下のような場面で活用されます。

・設備保全の交換時期決定
・ベアリングやモーターの寿命予測
・電子部品の故障率予測
・保証期間の設定
・故障原因の推定
・予防保全の計画立案

特に、保証期間や交換周期を決める際には、「何%が故障するか」を定量的に予測できるため、非常に重要です。

まとめ

ワイブル分析は、製品や設備の寿命や故障モードを予測するための代表的な手法です。

①形状パラメータmを見ることで、初期故障型、偶発故障型、摩耗故障型のどれに該当するかを判断できます。

②また、尺度パラメータηを見ることで、どのくらい長く使用できるかを把握できます。

累積故障率の式を使えば、出荷後1年で何%が故障するか、何時間後にどれくらい故障するかを推定できます。

信頼性工学を実務で活用するためには、故障率、MTBF、MTTFだけでなく、ワイブル分析まで理解しておくことが非常に重要です。

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