χ二乗検定(一様性の検定)とは?|分割表を使った検定方法をわかりやすく解説

はじめに

統計解析を行っていると、以下のような分割表を目にすることがあります。

曜日
来客数 90 85 130 95 110 135 105

このようなカテゴリごとの集計結果を見たとき、

・曜日によって来客数に差があるのだろうか?
・不良品の発生数に偏りはあるのだろうか?
・アンケート結果は均等に分布しているのだろうか?

と考えたことはないでしょうか??

しかし、集計結果に差が見えていても、れが本当に意味のある差なのかそれとも偶然生じた差なのかは見ただけでは判断できません。

そこで活躍するのが、本記事のタイトルにもあるχ二乗検定(カイ二乗検定)です。

χ二乗検定はカテゴリカルデータを扱う代表的な統計手法であり、品質管理・製造業・マーケティング・医療統計など幅広い分野で利用されています。本記事では、その中でも最も基本となるχ二乗検定(一様性の検定)について、具体例を交えながらわかりやすく解説します。

▼この記事のポイント
・χ二乗検定(一様性の検定)は、カテゴリごとの出現割合に偏りがあるかを調べる検定
・曜日別来客数、製品ごとの故障件数、アンケート結果の偏り確認などに使用できる
・観測度数と期待度数のズレからχ²値を計算し、偶然では説明できない差か判断する
・p値を用いて、カテゴリ間の割合に統計的な有意差があるか確認する
・品質管理、マーケティング、医療統計など幅広い分野で活用される

χ二乗検定とは?(3種類)

χ二乗検定とは、「観測されたデータと期待されるデータの差が偶然かどうかを判定する統計手法」です。

主にカテゴリカルデータに対して適用されます。
例えば、以下のようなデータについて解析する際は最初に候補として挙がります。

データ 検定目的
曜日別来客数 曜日ごとの来客数が均等かを確認する
男女別不良発生数 男女で不良発生割合に偏りがないか確認する
製品ごとの故障件数 製品間で故障発生割合に差がないか確認する

製造業を問わず、様々な業界で該当しそうな事例ですね。

χ二乗検定には大きく分けて以下の3種類があります。
意外と知られていませんが、一言でχ二乗検定といっても、目的やデータセットに応じて得られる結果の解釈は全く異なります。

検定の種類 目的
一様性の検定 各カテゴリの割合が同じか確認する
独立性の検定 2つのカテゴリに関連があるか確認する
適合度検定 理論分布に従っているか確認する

本記事では、この中でも最も基本的な一様性の検定について解説します。
事例を元に、しっかりと理解していきましょう!


χ二乗検定(一様性の検定)とは?

一様性の検定とは、各カテゴリの出現割合が等しいと言えるかを調べる検定です。

例えば、
・曜日ごとの来客数
・月ごとの不良件数
・血液型の人数分布

などの分析に適用できます。

ここで、χ二乗検定(一様性の検定)の帰無仮説と対立仮説は以下のようになります。

・帰無仮説 H₀:各カテゴリの出現割合は等しい
・対立仮説 H₁:少なくとも1つのカテゴリの出現割合が異なる

χ二乗検定のみに限った話ではないですが、統計的仮説検定を行う際はp値の値のみでなく検定を行ううえでの前提条件「帰無仮説」と「対立仮説」を理解することが重要です。

この場合一様性の検定にかけてp値<0.05だった際は、「少なくとも1つのカテゴリの出現割合が異なる」と判断することができます。
※すべてのカテゴリの出現割合が異なるわけではないです!


χ二乗検定(一様性の検定)の定義式

ここからは、χ二乗検定(一様性の検定)の定義式及び計算方法について記載します。
χ二乗検定を含む統計的仮説検定は「検定統計量」と呼ばれる数式が存在します(所謂、”公式”のようなものですね”)。

χ二乗検定の検定統計量が”χ²値”というわけです。
χ²値は以下の式で計算されます。

χ² = Σ (O − E)² E

ここで、各項の意味は以下になります。
・O:観測度数(実際に得られたデータ)
・E:期待度数(帰無仮説が正しいと仮定した場合のデータ)

観測値と期待値の差が大きいほど、χ²値は大きくなります(分子の部分で表現されています)。ここで理解しておきたいのは、観測値と期待値の乖離が大きい程、χ二乗値が大きくなり、「偶然では起きえない事象」と判断されやすくなる点です。

そしてχ²値からp値を求めることで、「偶然とは考えにくい差かどうか」を判断します。
このχ二乗値を”検定統計量”とよび、この値をχ二乗分布に当てはめることでp値が算出されます
※χ二乗値からp値を求める方法は次項の事例で詳しく解説しています!

これがχ二乗検定(一様性の検定)のロジックです。

最後に、「統計的に有意に出現割合が異なるか」の判定には以下の基準を使います

p値 判断基準
p < 0.05 統計的に有意差ありと判断することが多い
p < 0.01 より強い根拠を持って有意差ありと判断する

事例:コンビニの曜日別来客数

店長のXさんはコンビニを経営しています。ある日、「曜日によって来客数が違う気がする」と感じました。

そこで1週間の来客数を集計してみると、以下のようになりました。

曜日
来客数 90 85 130 95 110 135 105

確かに、「水曜日」と「土曜日」が他と比べて来客数が多いように見えます。

これは一度集計しただけなので「今回は偶然こうなった」可能性があります。 そこで、統計について勉強し、χ二乗検定(一様性の検定)をかけて 「曜曜日ごとに来客数の差が存在するか?」を明らかにすることにしました。

◆実際に計算してみる

① 総来客数を求める

まず、1週間の総来客数を求めます。

90 + 85 + 130 + 95 + 110 + 135 + 105 = 750

② 期待度数を求める

今回の帰無仮説は、

曜日によって来客数に差はなく、各曜日とも同じ割合で来客する

というものです。

曜日は7種類あるため、期待度数は平均値を求めて

750 ÷ 7 = 107.14

となります。

つまり、帰無仮説が正しければ各曜日とも 107.14人 来客するはずです。
先ほどの分割表にこの期待度数を追加すると以下のようになります。

曜日
観測度数 90 85 130 95 110 135 105
期待度数 107.14 107.14 107.14 107.14 107.14 107.14 107.14

③ χ²値を計算する

次に、観測度数と期待度数のズレをχ²値として計算していきます。

χ二乗検定では、各カテゴリについて以下の式を使います。

(90 − 107.14)² ÷ 107.14 = 2.74

つまり月曜日では、「期待していた人数」と「実際の人数」のズレによって、χ²値に2.74分影響していることになります。

同じ計算を火曜日〜日曜日についても実施すると、以下の結果になります。

曜日
χ²値 2.74 4.58 4.88 1.38 0.08 7.25 0.04

この値をすべて足し合わせたものが、最終的なχ²値(検定統計量)になります。

χ² = 20.95

このχ²値が大きいほど、「期待される結果から大きく外れている」ことを意味します。

④ p値を求める

次に、計算したχ²値を使ってp値を求めます。

χ二乗検定では、

・χ²値
・自由度

の2つからp値を計算します。

まず自由度を求めます。χ二乗値はここまでで求めているので、あとは自由度ですね。
一様性の検定では、自由度は以下になります。

自由度 = カテゴリ数 − 1

今回の場合、曜日は7種類なので、

自由度 = 7 − 1 = 6

となります。

ここで得られた

・χ²値:20.95
・自由度:6

をχ²分布に当てはめることでp値が求まります。

p ≒ 0.002

一般的には有意水準5%(p=0.05)を基準に判断します。

今回得られた結果は、p=0.002<0.05のため、「統計的に有意に曜日ごとの来客数の割合が異なる」と解釈されます。

また、「χ二乗値」と「自由度」が分かれば、p値は以下のExcel関数で求めることができます
χ二乗分布表からp値を求めるのは手間なので、実務的にもおすすめです!

=CHISQ.DIST.RT(χ二乗値, 自由度)

χ二乗検定を使う際の注意点

χ二乗検定にはいくつか注意点があります。検定を実施する前に以下の3点には注意しておきしょう。

・データはカテゴリカルデータであること(計量データはNG!)
・各カテゴリは独立していること
・期待度数が極端に小さくないこと(一般的には5以上)

特に期待度数が小さい場合は、Fisherの正確確率検定など別の手法を使用することがあります。


まとめ

χ二乗検定(一様性の検定)は、カテゴリごとの出現割合に差があるかを調べる統計手法です。

ポイントをまとめると、

ポイント 内容
ポイント1 カテゴリカルデータ(分類されたデータ)の解析に使用する
ポイント2 各カテゴリの出現割合に統計的な差があるか検定できる
ポイント3 χ²値(検定統計量)からp値を求め、有意差の有無を判断する
ポイント4 品質管理・マーケティング・医療統計など幅広い分野で活用される

分割表を見て「なんとなく偏っている気がする」と思ったときは、χ二乗検定を使うことで客観的に判断できるようになります

また、Excel分析・統計解析のご相談をココナラで受け付けています。

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