
分布適合は、手元のデータがどの確率分布に近いかを調べるための解析です。Stat Lab Analyticsでは、品質ツールから分布適合を選び、正規分布、対数正規分布、ワイブル分布、指数分布など複数の候補分布を比較できます。
この記事では、設備部品の故障時間データを例に、Stat Lab Analyticsで分布適合を行う手順を中心に解説します。AICやBIC、P値の意味にも触れますが、主役はあくまでソフトの操作方法と結果画面の確認ポイントです。

分布適合とは?

■ データに近い確率分布を探す解析
分布適合とは、実際に得られたデータが、どの確率分布に近いかを調べる解析です。正規分布だけを見るのではなく、対数正規分布、ワイブル分布、指数分布、ガンマ分布など、複数の候補から比較します。
製造業では、製品寸法のように左右対称に近いデータもあれば、故障時間や加工時間のように右側へ長く伸びるデータもあります。データの分布を確認することで、後続の工程能力分析、寿命解析、保証寿命の検討などへ進みやすくなります。
■ なぜデータの分布を調べるのか?
分布を調べる目的は、データの形を理解し、適切な解析方法を選ぶことです。たとえば、正規分布を前提にした解析が向いているのか、寿命データとしてワイブル分布を検討すべきか、変数変換や非正規工程能力分析を考えるべきか、といった判断につながります。
操作手順

■ 使用するサンプルデータ
今回は、設備部品の故障時間をイメージした正の連続データを使用します。右側に裾が伸びるため、正規分布だけでなく対数正規分布やワイブル分布も比較します。
サンプルデータをダウンロード
この記事と同じ条件で分布適合を試せるExcelデータです。設備部品の故障時間を想定した、右側に裾が伸びる正の連続データを入力済みです。
Excelサンプルデータをダウンロードファイル名:distribution-fitting-sample-data.xlsx
■ Step1 Stat Lab Analyticsを開く
Stat Lab Analyticsを開き、左側メニューを確認します。
無料統計解析ソフト – Stat Lab Analytics

■ Step2 品質ツールを開く
左側メニューから「品質ツール」を選択します。

■ Step3 分布適合を選択する
品質分析設定の分析種類で「分布適合」を選択します。

■ Step4 データを入力または読み込む
Data Editorに故障時間データを入力します。CSVやExcelファイルから読み込むこともできます。

■ Step5 解析する列を選択する
対象変数で解析したい数値列を選択します。今回の例ではA列を選択します。

■ Step6 分布選択を確認する
分布選択では「自動選択」または「個別分布選択」を選べます。複数分布を比較したい場合は自動選択を使用します。

■ Step7 個別分布を選択する場合
特定の分布だけを確認したい場合は、個別分布選択に切り替えて分布を選びます。記事では複数分布比較を中心に進めます。

■ Step8 解析を実行する
設定が完了したら「解析実行」ボタンを押します。

■ Step9 各分布の適合度を確認する
結果画面で推奨分布、AD値、P値、AIC、BICを確認します。

■ Step10 AIC・BIC・P値を比較する
詳細結果の比較表で、複数分布のAIC、BIC、AD値、P値を比較します。

■ Step11 確率プロットを確認する
確率プロットでは、点が基準線に概ね沿っているかを確認します。グラフだけで断定せず、数値指標と合わせて見ます。

■ Step12 最も適切と考えられる分布を検討する
最後に、AIC、BIC、AD値、P値、グラフ、データの性質を総合して、使用する分布を検討します。

解析結果の見方
■ 結果比較表を見る
今回のサンプルデータでは、AICとBICが相対的に小さく、AD値も小さいLognormalが候補として良好という結果例になりました。ただし、これは「絶対に対数正規分布である」という意味ではありません。

| 分布 | AIC | BIC | AD | P値 | 判断 |
|---|---|---|---|---|---|
| Lognormal | 557.82 | 562.89 | 0.284 | 0.661 | 候補として良好 |
| Weibull | 562.14 | 567.21 | 0.341 | 0.503 | 比較候補 |
| Gamma | 566.48 | 571.55 | 0.398 | 0.372 | 比較候補 |
| Loglogistic | 568.62 | 573.69 | 0.431 | 0.305 | 比較候補 |
| Normal | 590.75 | 595.82 | 0.912 | 0.029 | 比較候補 |
| Exponential | 604.30 | 607.68 | 1.438 | 0.004 | 比較候補 |
■ 確率プロットを見る
確率プロットでは、点が直線に概ね沿っているほど、その分布でデータを説明しやすい可能性があります。端の点が大きく曲がる場合は、外れ値や分布の違いを疑います。

まとめ
分布適合は、手元のデータがどの確率分布に近いかを調べるための解析です。Stat Lab Analyticsでは、品質ツールから分布適合を選択し、対象変数と分布選択を設定するだけで、複数分布のAIC、BIC、AD値、P値、グラフを確認できます。
結果を読むときは、推奨分布やAICだけで決めず、ヒストグラム、確率プロット、データの発生メカニズム、解析目的を合わせて判断します。製造業では、寿命、故障時間、加工時間、工程能力分析の前段階として役立つ機能です。
