
この記事では、Stat Lab Analyticsを使ってχ²(カイ二乗)検定を実施する方法を解説します。χ²検定は、平均値を比較する検定ではなく、良品・不良品のようなカテゴリーデータの割合に差があるかを確認する検定です。
製造業では、設備ごとの不良率、改善前後の不良率、仕入先ごとの合格率などを比較したい場面があります。この記事では、サンプルデータを使いながら、操作手順と結果の見方を初心者向けに説明します。
χ²(カイ二乗)検定とは?

■ χ²検定とは?
χ²検定は、カテゴリーデータの割合に差があるかを確認する検定です。カテゴリーデータとは、良品・不良品、合格・不合格、設備A・設備Bのように分類で表されるデータです。
たとえば、設備Aで500個検査して不良が10個、設備Bで500個検査して不良が25個だった場合、設備Bのほうが不良率が高く見えます。χ²検定を使うと、この差が偶然のばらつきで説明できる範囲なのか、統計的に意味のある差なのかを確認できます。
重要なのは、χ²検定は平均値を比較する検定ではないという点です。2群以上の割合や比率、不良率、合格率などを比較したいときに使います。
| 項目 | 意味 | 確認ポイント |
|---|---|---|
| χ²値 | 観測度数と期待度数のズレの大きさ | 大きいほど、割合に差がある可能性があります。 |
| P値 | 偶然で説明できる可能性 | 0.05未満なら、割合に差があると判断します。 |
| 自由度 | 検定で使うカテゴリの数から決まる値 | 2×2表では自由度は1です。 |
| 期待度数 | 差がないと仮定した場合に期待される件数 | 観測度数との差を使ってχ²値を計算します。 |
製造業でどのように利用されるか
■ 不良率や割合を比較する
χ²検定は、良品・不良品のような分類データを比較するときに役立ちます。製造業では、不良率、合格率、発生割合などを設備別、仕入先別、工程別に比較する場面でよく使います。
平均値ではなく、割合を比較したいときに使うのがポイントです。
| 活用場面 | 確認内容 |
|---|---|
| 設備Aと設備Bの比較 | 設備ごとの不良率に差があるかを確認します。 |
| 改善前後の比較 | 改善後に不良率が下がったかを確認します。 |
| 仕入先比較 | 仕入先ごとの不良率を比較します。 |
| 昼勤と夜勤の比較 | 勤務帯ごとの不良率を比較します。 |
| 材料変更前後 | 材料変更で不良率が変化したかを確認します。 |
操作手順

■ Step1 ホームから「仮説検定」を開く
Stat Lab Analyticsを起動し、ホーム画面の解析メニューまたは左サイドバーから「仮説検定」を選択します。
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■ Step2 解析メニューから「χ²検定」を選択する
仮説検定画面が開いたら、検定方法のプルダウンから「χ²検定」を選択します。

■ Step3 各群の良品数・不良数を入力する
Data Editorに、設備ごとの良品数と不良数を入力します。今回の例では、各設備500個検査した結果を比較します。
| 設備 | 良品 | 不良 | 不良率 |
|---|---|---|---|
| 設備A | 490 | 10 | 0.020 |
| 設備B | 475 | 25 | 0.050 |


■ Step4 有意水準を確認する
有意水準は初期値として0.05が設定されています。これは、5%の基準で不良率に差があるかを判断する設定です。

■ Step5 解析実行ボタンを押す
設定内容を確認したら、「検定実行」ボタンをクリックします。

■ Step6 解析結果を確認する
解析が完了すると、結果ダッシュボードが表示されます。不良率、χ²値、自由度、P値、判定を確認します。
| 項目 | 結果 | 確認ポイント |
|---|---|---|
| 設備A不良率 | 0.020 | 500個中10個が不良です。 |
| 設備B不良率 | 0.050 | 500個中25個が不良です。 |
| χ²値 | 6.6617 | 観測度数と期待度数のズレを示します。 |
| 自由度 | 1 | 2×2表なので自由度は1です。 |
| P値 | 0.00985 | 0.05未満のため、不良率に差があると判断します。 |
| 期待度数 | 良品482.5 / 不良17.5 | 差がないと仮定した場合の件数です。 |
| 判定 | 不良率に有意差あり | 設備Bの不良率が高いと考えられます。 |
■ Step7 結果を解釈する
今回の結果では、P値が0.00985で有意水準0.05より小さいため、帰無仮説を棄却します。つまり、設備Aと設備Bの不良率は同じとは言えません。
設備Bの不良率は5.0%で、設備Aの2.0%より高くなっています。統計的にも差が確認されたため、設備B側の条件や原因を確認する価値があります。

結果の見方
■ P値を見る
P値は、帰無仮説が正しいとした場合に、今回のような差が偶然で起こる可能性を表します。χ²検定では、帰無仮説は「2群の不良率は等しい」です。
今回のP値は0.00985で、0.05より小さいため、2群の不良率に差があると判断します。
■ 期待度数を見る
期待度数は、差がないと仮定した場合に期待される件数です。今回の例では、各設備で良品482.5、不良17.5が期待度数になります。
実際には設備Aの不良は10、設備Bの不良は25でした。このズレが大きいため、χ²値が大きくなります。
まとめ
χ²検定は、良品・不良品のようなカテゴリーデータの割合に差があるかを確認する検定です。平均値を比較する検定ではなく、不良率や合格率などの比率を比較するために使います。
今回のサンプルデータでは、設備Bの不良率が設備Aより有意に高いと判断されました。製造業では、不良率の比較や改善効果の確認に役立つ検定です。
