信頼性工学の超基本|故障しにくさをデータで考える考え方を解説

はじめに

信頼性工学とは、「製品や設備がどれだけ壊れにくいか」を考える学問です。

製造業や品質保証、設備保全の分野では、単に「不良率が低いか」だけではなく、

・どのくらい長く使えるか
・いつ故障しやすくなるか
・どのくらい安定して稼働できるか

を考えることが重要です。

例えば、自動車部品であれば「何万kmまで壊れないか」、工場設備であれば「何時間連続で動かせるか」、半導体であれば「何年故障せずに使えるか」といった視点が必要になります。

この記事では、信頼性工学の基本的な考え方や、よく使う用語を初心者向けにわかりやすく解説します。

▼この記事のポイント
・信頼性工学は「壊れにくさ」を数値で考える学問
・品質管理との違いがわかる
・信頼度、故障率、MTBFなどの基本用語が理解できる
・信頼性を構成する3つの要素がわかる
・信頼性がなぜ重要なのかが理解できる

信頼性工学とは?

信頼性工学とは、製品や設備が一定期間、正常に機能し続ける確率を考える学問です。

製造業では、「出荷時に良品だったか」だけでは十分ではありません。

例えば、出荷直後は問題がなくても、1か月後や1年後に故障してしまえば、顧客クレームや重大事故につながる可能性があります。

そのため、

・どのくらいの期間壊れないか
・どのタイミングで故障しやすくなるか
・故障率は時間とともにどう変化するか

をデータで分析し、寿命や故障リスクを予測することが重要です。

品質管理が「今、この瞬間に規格を満たしているか」を見るのに対し、信頼性工学は「将来にわたって正常に使えるか」を考えるイメージです。

具体例

名称 信頼性における評価特性
スマホのバッテリー 何年持つか
自動車部品 何万kmまで壊れないか
工場設備 何時間稼働できるか
半導体 何年故障しないか

信頼性工学でよく使う基本用語

信頼性工学では、以下の用語は必ず押さえておきたいところです。

信頼度

信頼度とは、一定時間内に故障しない確率のことです。

例えば、「1000時間後に90%の製品が正常に動いている」という場合、その製品の1000時間時点での信頼度は90%です。信頼度が高いほど、壊れにくい製品と言えます。

故障率

故障率とは、単位時間あたりにどのくらい故障するかを示す指標です。故障率が高いほど、壊れやすいことを意味します。
同じ製品でも、使い始め直後、通常使用時、寿命末期では故障率が変わることがあります。

MTBF

MTBFは Mean Time Between Failures の略で、日本語では平均故障間隔と呼ばれます。
修理可能な設備でよく使われる指標であり、「故障してから次の故障までの平均時間」を表します。
例えば、ある設備のMTBFが1000時間なら、その設備は平均すると1000時間ごとに故障するという意味になります。

MTTF

MTTFは Mean Time To Failure の略で、日本語では平均故障時間と呼ばれます。
こちらは修理しない製品で使われることが多く、「製品が壊れるまでの平均時間」を表します。
例えば、LED照明や電子部品など、一度壊れたら交換する前提の製品で使われます。

B10寿命

B10寿命とは、全体の10%が故障するまでの時間を表します。
例えば、B10寿命が5000時間という場合、「5000時間使った時点で10%の製品が故障する」という意味です。自動車部品、ベアリング、電子部品などでよく使われます。

信頼性の要素

信頼性という概念は広いため、一般的には以下の3つに分類して考えます。

(a)耐久性

耐久性とは、寿命が長い、故障が少ない、といった「壊れにくさ」を表す性質です。

例えば、

・摩耗しにくい
・長時間使用しても性能が落ちにくい
・高温や湿気に強い

といった性質は耐久性に関係します。

(b)保全性

保全性とは、故障しにくい状態を維持し、万が一故障しても短時間で復旧できる性質を指します。

例えば、

・部品交換が簡単
・異常発生時にすぐ原因を特定できる
・設備停止時間を短くできる

といった要素が保全性です。

信頼性工学では、「故障しないこと」だけでなく、「故障してもすぐ復旧できること」も重要視されます。

(c)人間信頼性

人間信頼性とは、ヒューマンエラーと関係する信頼性のことです。
設備や製品が優れていても、人のミスによって重大事故が起こることがあります。

例えば、

・作業手順を守らなかった
・点検を省略した
・誤った設定値を入力した
・確認不足で設備を運転した

といったミスです。

製造業では、人と設備の関わりを含めて信頼性を考える必要があります。

信頼性はなぜ重要なのか

信頼性が十分に評価・担保されていないと、重大事故や大規模クレームにつながる可能性があります。

ここでは、有名な事故事例を紹介します。

エキスポランド ジェットコースター脱線事故

2007年、大阪のエキスポランドでジェットコースター「風神雷神II」が脱線し、1名が死亡、複数名が負傷しました。

原因は、車軸の金属疲労や検査不足、部品交換の未実施でした。

長年使い続けた車軸に疲労破壊が起きていたにもかかわらず、十分な検査が行われておらず、重大事故につながりました。

これは「設備の耐久性」と「保全性」が十分でなかった事例と言えます。

詳しくはこちら:エキスポランド事故の概要

東海村臨界事故

1999年、茨城県東海村のJCO核燃料加工施設で臨界事故が発生し、2名の作業員が死亡しました。

本来の手順とは異なる方法で作業を行い、安全上使ってはいけない設備にウラン溶液を投入したことが原因でした。

背景には、安全教育不足、作業手順の逸脱、効率優先の文化などがあったとされています。

これは「人間信頼性」の重要性を示す代表的な事例です。

詳しくはこちら:東海村JCO臨界事故の概要

まとめ

信頼性工学は、「製品や設備がどれだけ壊れにくいか」を数値で考える学問です。
製造業では、出荷時の品質だけでなく「どのくらい長く使えるか」「いつ故障しやすくなるか」まで考える必要があります。

まずは以下の基本用語を理解することが重要です。

・信頼度
・故障率
・MTBF
・MTTF
・B10寿命

また、信頼性は単なる「壊れにくさ」だけではなく、

・耐久性
・保全性
・人間信頼性

の3つで考えることが大切です。

信頼性工学を学ぶことで、故障を減らし、設備停止や重大事故を防ぎ、より安全で安定したものづくりにつなげることができます

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