信頼性の指標を徹底解説(故障率 / MTBF / MTTF)

はじめに

設備や製品が長く安定して使えるかを考えるうえで、「信頼性」は非常に重要な考え方です。

信頼性とは、製品や設備が一定期間、期待された機能を問題なく果たせる性質を指します。たとえば、工場設備が頻繁に停止したり、電子部品が短期間で故障したりすると、生産性や品質に大きな影響を与えます。

そのため、製造業では「どのくらい壊れやすいか」「平均でどのくらい使えるか」を数値で表し、設備保全や製品設計に活用します。

このような信頼性を数量的に表したものを「信頼性特性」と呼びます。

本記事では、代表的な信頼性指標である故障率、MTBF、MTTFについて、意味や違い、計算方法をわかりやすく解説します。

この記事を読むことで、以下の内容が理解できます。

▼この記事のポイント
・故障率とは何か
・MTBFとは何か
・MTTFとは何か
・それぞれの違いと使い分け
・Excelでどのように計算できるか

信頼性の重要指標

信頼性を評価する際には、設備や製品がどの程度壊れやすいか、またどのくらい長く使えるかを数値で表す必要があります。

このような信頼性の尺度を数量的に表したものを、信頼性特性と呼びます。

代表的な信頼性指標として、以下の3つがあります。

・故障率
・MTBF (Mean Time Between Failures)
・MTTF
(Mean Time To Failure)

故障率は、一定時間あたりにどのくらい故障するかを表す指標です。

MTBFは、修理しながら使い続ける設備が、故障と故障の間で平均どのくらい稼働できるかを表します。

MTTFは、故障したら交換する製品が、平均でどのくらい使えるかを表します。

これらの指標を使うことで、設備保全の計画を立てたり、製品寿命を予測したり、故障リスクを比較したりできるようになります。
次項以降でそれぞれの意味合いや数式、計算事例まで詳しく解説していきます。

故障率とは

故障率とは、一定時間あたりに発生する故障の割合を表す指標です。故障率は、設備や製品がどれくらい壊れやすいかを示すため、信頼性工学の中でも非常に重要な指標です。

故障率は一般的に、以下の式で表されます。

故障率 = 故障件数 総稼働時間 = k T

例題:設備Aの故障率の推定

技術者Zさんは、自身の担当設備Aの故障率を推定する必要があります。
そのため、ここ半年の「総稼働時時間」とその期間における「故障件数」を集計しました。


以下のデータを得られたとします。

項目
総稼働時間 2000時間
故障件数 4件

ここから、この設備Aの故障率を求めていきます。

このデータから、故障率は以下の計算式でも求めることができます。

故障率 = 4 2000 = 0.002


つまり、設備Aは1時間あたり0.002回故障する設備であると考えられます。
(わかりにくいので、1000時間=41.7日に一回故障すると示した方がよいですね)

たとえば、同じ2000時間運転した設備でも、故障件数が2件の設備と8件の設備では、後者の方が故障率が高く、より壊れやすい設備だと判断できます。
技術者Zさんは、この故障率がほかの設備に対して高いか、少ないか比較しにかかりました。

MTBFとは

MTBFとは、「Mean Time Between Failures」の略で、日本語では平均故障間隔と呼ばれます。

MTBFは、修理して繰り返し使う設備や装置について、故障と故障の間で平均どのくらい使えるかを表す指標です。

工場設備、ポンプ、コンプレッサー、サーバー設備など、故障後に修理して再利用するものに対して使われます。

MTBFは、以下の式で表されます。

MTBF = 総稼働時間 故障件数 = T k

例題:設備Bの平均故障間隔(MTBF)の推定

設備修理GのXさんは、定期的に故障メンテナンスの必要な設備Bについて、その他の設備と比較してメンテナンス周期が短いことに気が付きました。

そこで、どのくらいの間隔で修理が必要になっているかを示すために、平均故障間隔(MTBF)を推定することにしました。

取得できたデータは以下です。

回数 修理後の故障までの時間(時間)
1回目 345
2回目 500
3回目 672
4回目 430
5回目 401
6回目 398

今回は、6回分の「修理後の故障までの時間」が得られているため、これらの平均値をMTBFとします。

MTBF = 345 + 500 + 672 + 430 + 401 + 398 6
MTBF = 2746 6 = 457.7 時間

したがって、この設備のMTBFは約458時間となります。

つまり、この設備は修理後、およそ458時間ごとに1回故障する設備であると考えられます。
そのため修理GのXさんは、この間隔がほか設備を比べてどうか比較することにしました。

MTBFは数値が大きいほど、故障しにくく信頼性が高いことを意味します。
また、MTBFと故障率は逆数の関係にあります。故障率が高い設備はMTBFが短くなり、故障率が低い設備はMTBFが長くなります。

MTTFとは

MTTFとは、「Mean Time To Failure」の略で、日本語では平均故障時間と呼ばれます。MTTFは、故障したら修理せずに交換する製品に対して使われる指標です。

たとえば、LED照明、電池、半導体、ベアリングなどは、故障した後に修理するのではなく交換することが一般的です。

そのため、MTTFは「その製品が平均でどのくらいの時間使えるか」を表します。

MTTFは、以下の式で表されます。

MTTF = 総使用時間 故障数

例題:出荷したLEDランプの平均故障時間(MTTF)

ある企業YではLEDランプの製造・販売をしています。
ある時期からユーザーより、「購入したLEDランプがすぐに故障する」とのクレームが入りました。
これまで、この企業のLEDランプは出荷後平均で「30000時間」使用できることがわかっています。

そこで、企業Yはクレームがあった時期から製造したLEDランプの平均故障時間(MTTF)をデータから求めることにしました。

市場からサンプリングした15個の出荷後の故障時間は以下です。

部品No 故障時間
1 24000
2 27459
3 22850
4 25120
5 23680
6 21950
7 24510
8 23240
9 25780
10 22100
11 24360
12 23890
13 24980
14 22670
15 24140

総使用時間(故障時間)は、15個で360,729時間です。

このとき、MTTFは以下のようになります。

MTTF = 総使用時間 故障数
MTTF = 360729 15
MTTF = 24048.6 時間

したがって、この部品のMTTFは約24,049時間となります。

よって企業Yの技術部門はLEDランプの寿命が通常より約6000時間短くなった原因を追究することにしました。

MTTFは、故障したら交換する消耗品や部品に対して使われる点が、MTBFとの大きな違いです。

MTBFとMTTFの違いを整理すると、以下のようになります。

・MTBF:修理しながら使い続ける設備向け
・MTTF:故障したら交換する製品向け

たとえば、工場のポンプやコンプレッサーにはMTBFを使い、LEDランプや電池にはMTTFを使います。

まとめ

信頼性を定量的に評価するためには、故障率、MTBF、MTTFといった指標を理解することが重要です。

①故障率は、一定時間あたりにどのくらい故障するかを表します。

②MTBFは、修理して使い続ける設備が平均でどのくらい稼働できるかを表します。

③MTTFは、故障したら交換する製品が平均でどのくらい使えるかを表します。

これらの指標を活用することで、設備保全の優先順位を決めたり、部品交換時期を予測したり、より信頼性の高い設備や製品を選定できるようになります。

今後は、故障率と関係の深いバスタブ曲線やワイブル分析について理解すると、信頼性工学をさらに深く学べるようになります。

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