Stat Lab Analyticsで重回帰分析を実施する方法|複数の要因と結果の関係を簡単に分析

重回帰分析は、製品強度や寸法、加工時間などの結果に対して、複数の要因がどのように関係しているかを確認するための解析です。

この記事では、Stat Lab Analyticsを使って重回帰分析を実施する手順を、製造業のサンプルデータを使いながら解説します。

Stat Lab Analytics 重回帰分析のアイキャッチ画像

この記事でできるようになること

・Stat Lab Analyticsで重回帰分析を実施できます。

・目的変数と説明変数の選び方が分かります。

・回帰式、R²、P値、VIFなどの結果を読み取れるようになります。

重回帰分析とは

■ 重回帰分析とは?

重回帰分析とは、1つの結果に対して、複数の要因がどのように関係しているかを調べる解析です。

たとえば、製品強度を高めたい場合、加工温度だけでなく、加工圧力や加工時間も影響しているかもしれません。重回帰分析では、これら複数の要因を同時に考慮して、結果との関係を数式で表します。

ここで、予測したい結果を「目的変数」、結果に影響すると考える要因を「説明変数(要因・因子)」と呼びます。

■ 単回帰分析と重回帰分析の違い

単回帰分析は、1つの説明変数だけで目的変数を説明する解析です。一方、重回帰分析は複数の説明変数を同時に使います。

なお、重回帰分析の画面で説明変数を1つだけ選んだ場合、モデルとしては単回帰分析に近い形になります。複数の要因を同時に評価したい場合は、説明変数を複数選択します。

単回帰分析と重回帰分析の違い

製造業でどのように利用されるか

重回帰分析は、製造条件と品質特性の関係を整理したい場面でよく使われます。

活用場面 確認内容
部品寸法 温度・圧力・速度などが寸法へ与える影響を確認します。
製品強度 熱処理条件や加工時間が強度へ与える影響を分析します。
不良率改善 複数の工程条件のうち、どの要因が品質に効いているかを調べます。
工程条件の最適化 目標値に近づけるための条件設定を検討します。
試作評価 量産前に複数条件と結果の関係を整理します。

サンプルデータ

今回は、製品強度に対して、加工温度・加工圧力・加工時間がどのように関係しているかを確認します。

No. 製品強度 加工温度 加工圧力 加工時間
1 45.20 180 40 30
2 45.92 185 42 31
3 46.98 190 43 29
4 47.77 195 41 32
5 48.18 200 44 30
6 49.60 205 45 33
7 50.39 210 47 31
8 51.12 215 46 34

重回帰分析の操作手順

■ Step1 ホームから「回帰分析」を開く

Stat Lab Analyticsを開き、左側メニューから「回帰分析」を選択します。

ホームから回帰分析を開く

■ Step2 解析メニューから「重回帰分析」を選択する

回帰分析設定の「回帰分析種類」で「重回帰分析」を選択します。

重回帰分析を選択する

■ Step3 データを入力する

Data Editorへデータを入力します。Excelからコピーして貼り付けることも、セルへ直接入力することもできます。

今回の例では、A列に製品強度、B列に加工温度、C列に加工圧力、D列に加工時間を入力します。

重回帰分析用のデータを入力する

■ Step4 目的変数を選択する

応答変数(Y)には、予測したい結果を選択します。今回は「製品強度」を選択します。

目的変数を選択する

■ Step5 説明変数を選択する

説明変数(X)には、結果に影響すると考えられる列を複数選択します。今回は「加工温度」「加工圧力」「加工時間」を選択します。

説明変数を選択する

■ Step6 解析実行ボタンを押す

設定内容を確認し、「解析実行」ボタンをクリックします。

解析実行ボタンを押す

■ Step7 解析結果を確認する

解析後は、KPIカード、AI解析サマリー、グラフ、係数表などを確認します。

重回帰分析の解析結果を確認する

■ Step8 結果を解釈する

係数の符号、P値、R²、残差プロット、VIFなどを確認し、どの説明変数が結果へ影響しているかを読み取ります。

重回帰分析の結果を解釈する

解析結果の見方

■ 結果画面で確認する項目

重回帰分析の結果画面
項目 結果例 確認ポイント
サンプルサイズ 18 解析に使用したデータ数です。
回帰式 製品強度 = 17.03 + 0.156×加工温度 + 0.323×加工圧力 – 0.251×加工時間 各要因が製品強度へ与える影響を式で表します。
0.999 モデルがデータのばらつきをどの程度説明できるかを示します。
調整済みR² 0.999 説明変数の数を考慮したモデルの説明力です。
RMSE 0.141 予測誤差の大きさを表します。小さいほど予測が合っています。
モデルP値 < 0.001 モデル全体が統計的に有意であることを示します。

■ 用語の意味

項目 意味 確認ポイント
目的変数 予測したい結果の列です。 今回の例では製品強度を目的変数にします。
説明変数(要因・因子) 結果に影響すると考えられる要因です。 加工温度、加工圧力、加工時間を説明変数にします。
回帰係数 説明変数が1増えたとき、目的変数がどれだけ変わるかを表します。 正なら増加方向、負なら減少方向の影響です。
P値 その要因の影響が偶然だけでは説明しにくいかを確認します。 一般に0.05未満なら有意な影響があると判断します。
モデルの説明力です。 高いほど当てはまりは良いですが、過学習には注意します。
VIF 説明変数どうしが似すぎていないかを確認します。 高すぎる場合は多重共線性に注意します。

回帰式の読み方

今回のサンプルデータでは、次のような回帰式になります。

製品強度 = 17.03 + 0.156×加工温度 + 0.323×加工圧力 – 0.251×加工時間

この式では、加工温度と加工圧力は正の係数、加工時間は負の係数になっています。

つまり、ほかの条件が同じであれば、加工温度や加工圧力が高いほど製品強度は上がる傾向があり、加工時間が長いほど製品強度は下がる傾向がある、という読み方になります。

重回帰分析で注意するポイント

■ 結果を見るときの注意点

重回帰分析は便利ですが、結果をそのまま鵜呑みにせず、データの状態や工程知識と合わせて確認することが重要です。

重回帰分析で確認するポイント
注意点 内容
相関と因果を混同しない 回帰分析で関係が見えても、必ず原因とは限りません。工程知識と合わせて判断します。
多重共線性 説明変数どうしが強く似ていると、係数の解釈が不安定になります。VIFを確認します。
外れ値 一部の外れ値が回帰式を大きく動かすことがあります。残差やCook’s Distanceを確認します。
非線形性 直線関係でない場合、重回帰分析だけでは表現しきれないことがあります。散布図や残差プロットを確認します。
サンプルサイズ 説明変数が多いほど必要なデータ数も増えます。少ないデータで要因を入れすぎないようにします。

まとめ

重回帰分析は、複数の要因と結果の関係を整理するための強力な解析です。

・目的変数には、予測したい結果を設定します。

・説明変数には、結果に影響すると考えられる要因を複数選択します。

・回帰係数、P値、R²、残差、VIFを合わせて確認することが重要です。

・製造業では、工程条件の最適化、品質改善、試作評価などに活用できます。

次におすすめの解析

・まず分布を見たい場合は、ヒストグラムを確認します。

・2つの変数の関係を見たい場合は、散布図を確認します。

・複数条件の平均差を見たい場合は、分散分析を確認します。

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